第1章 はじめに

1-4. 「未来予測レポート」の使い方

「面」としての年表、「奥行き」としてのレポート
  • 「未来予測レポート」は年表とレポートの2つで構成されている。「未来予測年表」は全体の流れを俯瞰するため、「レポート」は情報を深堀するためにそれぞれ使ってほしい。これらから読み取れるのは「将来の世界観」と「変化のシナリオ」である。
  • 「未来予測レポート」で重視しているのは「つながり」である。社会はさまざまな要素が互いに影響し合い、「立体的」に一つの世界を形作っている。いろいろな「点」は有機的につながった「線」であり、さらにそれが「面」や「立体」となって全体像として浮かび上がる──それが「将来の世界観」である。それが、時間と共にカタチを変えていくことにも留意していただきたい。
  • 「未来予測年表」を眺めて、そこに書かれたさまざまな変化(例えば、他の国や業界で起こっている要素)を自分のビジネスに当てはめてみていただきたい。「これを組み合わせれば、こういうビジネスはできないか」「将来こうなるなら、今のうちにこういうことをやっておく必要があるのではないか」など、いろいろな「発想」が湧いてくるだろう。それがこのレポートの狙いの一つである。年表を目に留まりやすい場所へ貼って、日々将来を考える意識付けに活用してほしい。
  • 「レポート」は一般の書籍のように頭から順を追って読むこともできるが、どの項目、どの段落からでも読める体裁を心掛けている。それぞれの項目は完結しており、関連項目へのリンクを掲載している。これは、リンクをたどることで視点が広がり、新しい発想が生まれることを狙ったものだ。まずは興味のあるところから読んで、そこからリンクの先にジャンプしたり、年表と照らし合わせて全体の流れの中で「未来」を考えてみてほしい。
中長期戦略立案のための「共通認識」づくり
  • これまで述べてきたように、「未来予測レポート」は、中長期戦略の立案に際して「共通認識」を作ること、経済や社会、テクノロジー、ライフスタイルなど議論するための「土台」をつくるためのものである。どんなに優秀な人たちを集めても、材料となる情報がなければ正しい判断はできない。あるいは、チームで話し合う際にメンバー間でその基礎知識に大きな違いがあったり、将来に対する見方がずれていたりすれば、まともな議論にならない。戦略を立案するためには、その前提となる「共通認識」を固めることが極めて重要なのである。
  • 本レポートの内容を100%受け入れる必要はない。ここに描かれている未来が自分たちが思うものとは違うならば、具体的に何がどのように違うのか? を考えてみてほしい。そうした議論を重ねることで、自らが信じる「未来社会」が具体的な形になってくるはずだ。本レポートを「たたき台」することで、ぜひ自らが信じる「未来予測」をやってみてほしい。メンバー全員の間で今後のリスクやチャンスについての認識が共有できれば、そこから何をすべきか道筋は自ずと見えてくる。大事なのは共通認識を作る「プロセス」である。そして、それが中長期戦略の柱となるはずだ。
デジタルサービスの目的と活用方法
  • 『未来予測2018-2030』のコンテンツは電子版も提供している。会員制Webサイト「未来予測デジタルサービス」のアクセスID(会員ID)は企業単位でアクアビットより発行され、「未来予測レポート&デジタルサービス」の購入企業に所属する社員であれば、何名でもアクセス可能としている(ただし、子会社、関連会社、協力会社などは対象外)。
  • 未来予測レポートの役割は、戦略を議論するためにその前提となる「共通認識」を持つことにある。「未来予測デジタルサービス」にアクセスすれば、各メンバーはいつでも、どの場所からでもレポートを読むことができる。1冊の紙のレポートを回し読みするよりも、はるかに短時間で情報の共有ができる。
  • 電子版では関連するページがハイパーリンクでつながれ、相関性がより分かりやすくなっている。グラフの参照元データなど外部の情報ソースもリンクで紹介している。紙面のスペースや優先順位の都合により、紙のレポートには掲載できなかったデータも載せている。
  • 「未来予測デジタルサービス」は、レポート発刊後も更新を続けていく。紙のレポートは、発刊した直後から情報の劣化が始まる。掲載したトピックに関して、後日重要な関連情報が出てきても、それを読者に伝えることは難しい。しかし、デジタルサービスであれば、アップデート情報をタイムリーに提供することができる。また、後述する「未来予測コミュニティ」ミーティングでもレポートの最新情報を提供している。その資料は「未来予測デジタルサービス」で公開しているのでぜひ参照してほしい。
  • 社内/社外向け資料を作る際にも、「未来予測デジタルサービス」の情報を積極的に活用することを推奨する。『未来予測2018-2030 レポート&デジタルサービス』は株式会社アクアビットの著作物だが、著作権法上の引用の範囲、“常識的”と認められる範囲であればコンテンツ(文章、図表など)の二次利用を歓迎している。社内利用・私的利用以外の目的であっても、「株式会社アクアビット『未来予測2018-2030』」と出所として明記していただければ、個別の許諾申請は不要である。不明な点があれば弊社へご連絡いただきたい(電話:03-5318-1488、電子メール:info@aquabit.co.jp)。

[FAQ] コンテンツの二次利用は可能ですか?

社内使用であれば、自由にご利用いただけます。講演等でのご使用の際には出所の明記をお願い致します。詳細は利用規約(第5条)をご確認いただき、ご不明な点はアクアビット(miraiyosoku@aquabit.co.jp)までお問い合わせください。

[FAQ] コンテンツのPDF文書版はありますか?

ありません。納品物一式に含まれるレポート(A4サイズ、約450ページ)と、未来予測デジタルサービス(本サイト)で閲覧可能なHTML形式での提供のみとなります。PDF文書は内容の更新ができない特性があるためです。レポート本文で筆者の田中 栄が述べているとおり、「未来予測デジタルサービス」は発刊後のコンテンツの更新を前提に提供しています。

未来予測を軸とした仲間づくり
  • 「未来予測レポート」は、新しいビジネスに取り組むコミュニティへの「パスポート」でもある。「未来予測レポート」シリーズ全体の導入実績は累計1500社以上であり、その8割以上がいわゆる「大企業」である。幅広い分野の企業に導入され、業界の枠組みを超えた将来シナリオとして活用されている。外出先で「未来予測年表」を見掛けたら、ぜひ積極的に声を掛けてコミュニケーションを取っていただきたい。「未来予測年表」の中のさまざまなトピックが、会話を始める良いきっかけになるはずだ。決して安くはない「未来予測レポート」を購入しているということは、その企業が「未来」を真剣に考えている誰かがいるという証である。「未来予測年表」は、来訪者の目に触れる場所に貼っておくことを強くお勧めしたい。
  • 近年はどの分野も自らの業界だけでは10年後の姿を描けなくなっている。新しいビジネスを創るためには、社外に一緒にやってくれる「仲間」を持つことが不可欠である。仲間づくりのきっかけとして、「未来予測コミュニティ」ミーティングをぜひ活用してほしい。これは 「未来予測レポート」の導入企業を対象としたオフラインの会合で、現在は3カ月に一度のペースで開催している。「未来」を共通のキーワードとして、志を同じくする仲間を見つけやすくすることを狙いの一つとしている。
  • 「未来予測コミュニティ」では、業界の枠組みを越えて戦略を話し合うために「未来予測レポート」を“共通のプロトコル”と位置付けている。同じ価値観を持つ「仲間」を業界を超えてつなぎたい。そしてこれを母体に新ビジネスを生み出したい、という強い想いからスタートしたものである。実際に、このコミュニティでの出会いから複数の新規事業の企画が動き始めている。
  • そのほかにも、未来予測を社外の人たちと共に学ぶ「未来予測ブリーフィング」というイベントも各地で開催している。これらの機会も積極的に活用してほしい。「未来予測ブリーフイング」のほか、関連セミナーの案内なども「未来予測デジタルサービス」で提供している。ぜひ随時チェックしてほしい。
「未来予測プロジェクト」の進め方
  • 「未来予測レポート」を企業の中で根付かせるために、社内で「未来予測プロジェクト」を立ち上げることを推奨する。「未来」についての理解を深めると共に、それを基に自社が将来あるべき姿(ビジョン)などを検討することが目的である。企業規模にもよるが、幅広い部門から20名程度のメンバーを集めるといいだろう。会社の中でこれだけの人数が将来におけるチャンスとリスクを認識し、将来進むべきベクトルを共有できれば、その企業は間違いなく変わるはずだ。
  • 私が見る限り、業界のリーディングカンパニーほど未来を真剣に考えている。2番手以降はトップの背中を追い掛ければ済むが、トップ企業は自ら考えて新しい道を切り開くしかないからだ。実際に業界のトップ企業がどのように動くかによって、業界全体、ひいては日本の未来が変わってしまう。いい意味でも悪い意味でも「未来は変えられる」。リーディングカンパニーにとって未来を創ることは「責任」でもある。このような責任意識を、最初にプロジェクトメンバー全員で共有することが大切である。
  • 「未来予測プロジェクト」を成功させるためには、経営トップの強いコミットメントが不可欠である。未来予測から導き出されるのは「経営戦略」だからだ。未来予測プロジェクトのリーダーは原則として社長。それが難しい場合でも、ボードメンバー(取締役)の参加は必須である。事業部長やマネージャーは現場を抱えており、自らの部門の利益を最優先に考えるのは当然である。メンバーが部門の利益代表者の立場で話し合えば、やがて利害が衝突し、社内の力関係で戦略が決まることになる。 未来予測プロジェクトは会社全体として何がベストかを考える場なのに、それでは本来導き出されるべき結論から離れていく。議論をジャッジするリーダーは、少なくとも「企業全体」を考える立場=取締役であることが絶対条件である。
  • プロジェクトの結論は大事だが、より重要なのは議論の「プロセス」であり、「チーム」を作ることである。社長や経営陣の大半が結論だけを聞くというスタンスでは、結局その会社は何一つ変わることができない。中長期戦略は、背景にあるメガトレンドや予想されるビジネスの変化などを「共通認識」として理解していなければ、正しい判断ができない。目指すべきビジョンや、チャンスやリスクについて共通認識ができ、それが経営戦略の中枢につながっているからこそ、実効性のある中長期戦略の策定へと結びつく。会社を本気で変えたいのであれば、リーダーたる経営陣が、まず「未来」と真剣に向き合うべきである。